ナレーションの声の奥行き感
ナレーションの声の奥行き感を知る。
ナレーションを行う上で、例えば他人から劇的に「声の変化」を指摘してもらえるのには、圧倒的に声の片りん(声の奥行き感・声の幅)を変える必要があります。例えば、よくある「ナレーションのためのボイストレーニング」で行われているトレーニングは、ほとんどが基礎的な日本語知識と、滑舌のトレーニングの混合されたものです。でも本当は、「ナレーションを読むのであれば、こういう声が一番求められる」という指導法をされなくてはなりません。本日いらした生徒さんですが、ナレーションレッスンでもたまに歌のレッスンをすることがありますが、スタート時に歌われていた曲を試しに流しで歌っていただいたら、こんな感想をおっしゃっていました。
声の選択肢が増えたので、声を出すときに思わず迷ってしまいます。
とのこと。
これは一見すると、「ん?よろしくないのでは?」と思われがちだが、非常に重要な好転反応と言えます。
声の選択肢(いわゆる声の幅)が広がると、「声なき声」を使うことができるようになります。声なき声。これが非常に大事です。
例えば、割とリズミカルで元気なナレーションものの場合、声を作ってしまったりして、ご自分の体に近い位置で声を弾いて、あまり声の奥行き感が使えなくても「それなり」に聞こえてしまう場合が多々なのですが、ですが、「声のテンションを上げずに、息の圧を上げてみてください」
というと、なぜか声自体(声帯にかかってくる重量感が失われず、むしろ声の圧力自体も上げることが可能なのです)
逆に言いますと、低音域でもっと、ゆるく、説得力のあるような語り口をしなくてはならないようなナレーションの場合、ただでさえ漏れる息の量は多くなりますので、逆に息をたくさん使いすぎず、声に神経を集めるような発声をしたほうが効果的です。
ミックスボイスの存在
ミックスボイスをこの時に使います。ミックスボイスは息の流通量に関係なく、裏声と地声の境目のきわどい声を維持する声帯のバランストレーニングが必要な発声法です。(この表現がとてもしっくりきます。)
文頭で、「まず」などの言葉始まりは、通常男性や女性でも少々地声ではなく裏声に近いようなアプローチをされる方が多く、その発声の仕方で文章そのもののバランス感覚を保っているような方も多いです。ただ、もっと落ち着いたように、説得力のあるように読みたい場合は声が行ったり来たりすることはマイナスになる場合もあります。
声をしっかり「玉止め」して、圧力を一定にする技術も必要です。
※「この場合の玉止め」は裁縫の際の玉止めをある意味比喩した表現です。
ムラーラミュージックオフィス