感情は込めて歌わずに〇〇〇するとよい、いや、すべき。
こんばんは。ムラーラミュージックオフィス代表宮島です。うちは、ほかの先生方に日記を書いていただいたりしていないので私が結局全部書いています。本人的には、このブログに何の個性も感じていないので、いたってレッスンをしている私そのもののつもりで書いているのですが、このブログから、ある一定の方は「個性」を感じるようです。
私の生徒さんは、まず1年未満の方がいらっしゃいません。皆さん大変長い付き合いで、細くても長く通おうとしてくださる方が大変多くいらっしゃいます。一種の「日課」的な感じで通ってくださっています。
さて今日のテーマは、結構エグめ?です。「感情は込めるな!」とは言いません。ただ、「込めても良くわからないよ?」というお話なのです。
うちの講師研修を見ていただけると、その真意がわかります。
講師研修は、様々なパターンで行います。最近よくやるのは、私がレッスン見学に行き、その考察を後から研修するという「大変恐ろしいもの」です。(笑)
つっこみどころが満載です。
口癖は、「それ、ちょっと良くわからない」。です。
まず、生徒さんが講師からレッスンを受けます。「先生、それはどういう意味ですか?」と言われたら、端から端まで全部こたえられることを私は求めます。「完璧だったり、模範解答である必要はありません。生徒さんに伝わって、生徒さんが消化できればOKです。
感情は込めない。感情を「カガクする」。
これ、あえてカタカナにしました。「化学」でも「科学」でもよいと思うからです。私の独断ですが、私は歌のレッスンをするときに、3本柱の「方向性」を示唆します。
1 声量維持のための方向性
2 発音や言葉の流れのための方向性
3 エモーショナルな方向性この三つです。
1 声量維持のための方向性。
良くこういう歌い方をされる方がいます。「このシーンは感情的に切ないところなので、切ない感じを表現するために、こう歌います」と言って極端に声量が落ちる方、言葉が尻つぼみになって、発音もなんだか聞こえにくくなります。簡単に言うと、声そのものの響きが落ちてしまい、それまでの流れがぷつっとさえぎられている状態です
→まず、歌が上手な方は、響きの状態が常に一定です。その上で微妙な声量の調整(息の調整)を行います。それには、ご自分の声帯の筋肉の収縮加減を良く知り、自分の口の開き状態、角度で声がどの程度変化するのかを知る必要があります。
→ものまねの芸人さんは最もここを研究していると私は考えています。「顔のそっくりさんで声もよく似ていてびっくり」という方がいらっしゃいますが、骨格という意味では顔の類似は声の類似にとても関係性が高いため、そういった意味でもご自分の顔のパーツ、口の開き具合など、細かいところを知る必要は多いにあります。
2 発音や言葉の流れのための方向性
これは、特に難しい分野になりますが、私は元々英語がとっても不得意で、英語の歌は「へたくそ」と言われていたのですが、なんとか留学や語学学習や発音の学習を経て、だいぶ変わっては来ました。さらに、ここ最近ナレーターの方とのレッスンのおかげで、「英語の端折る部分と、伸びる部分のルール」に対して、意識が高くなってきて、the,that,Andなどの比較的リズムが置かれにくい単語の端折りのルールなど、そのリズムの認識が高くなってきました。
これは、講師がわかっているのとわからないのでは、歌の学習に大きな差が出ると感じる部分です。これがわかると、逆に生徒さんへ「歌のグルーブ感」のレッスンも容易にできるようになります。
そして、この「発音や言葉の流れのための方向性」で、特に重さがかかる単語、伸びる場所、端折られる場所を歌うときに、口の脱力感、微妙な声帯の閉鎖程度、息を飛ばすスピード感。
これは、先で述べた声量維持のための方向性とは、違った方向性が生まれるのです。
声量を維持するのと、ある意味正反対の方向性を持つ場合もあります。
その時に、どれくらい、どうやってバランスをとるのか?
これが課題です。
さて最後
3 エモーショナルな方向性。
「エモーションはモーションから」。私はこれをモットーにしています。要は、感情表現をするのであれば、フォルムから変える。
ぶっちゃけていってしまいますと、上に書いた1・2の方向性。声量のための方向性と、言葉のための方向性、この二つをキチンとやれば、「この歌はどうやって歌うべきかおのずとわかる」と生徒さんが言ってくださいます。
気持ちを込めて歌うのが一番大切だとするならば、真逆です。
もちろん、歌詞の意味を考える等々は当然の流れです。朗読もナレーションも、同じように頭の中に風景が浮かばない方は、こちら側にイマイチ言葉として伝わってこないという事があります。
それにプラスして、メロディや和声に関しての基礎知識、これも必須です。しかしこれらは「感情ではなく、感情を表現するための情報」なので、情報理解が必要と思っています。
小難しいことをいかにシンプルに伝えられるかがプロの仕事。
ブログでは、かなり小難しく書いています。このブログを読む方は、きっと「これは男性が書いているに違いない」。ときっと思うと思います。
実際の私のレッスンを受けたら、「え?この人こんなにアバウトで大丈夫なの?」と思う方もいるかもしれません。が、それは
レッスンに与えられた時間・生徒さんの育ってきたであろう環境・課題をこなすまでのリミット・生徒さんがその日習得したいであろう内容の量・生徒さんのその日の体調・生徒さんの得意科目・生徒さんの性格・生徒さんのキャラ・生徒さんの欲しいと思われる情報・言葉・
等すべて計算しての上です。私はレッスンではある意味女優を演じているといっても過言ではありません。そこには私的な感情(違う、そうじゃない。なぜ出来ないのかな?もっと練習してきてよ)等の感情を抱く余裕はなく、常に脳みそがフル回転しています。
たった一つの願いとしては、
「宮島、適当そうにやってるけど、まあまあ考えているんだね」
って思ってもらうことかな?生徒さんにも講師の先生のも。あは。
ムラーラミュージックオフィスでした。